ふるさと納税と言えば「2,000円の自己負担で残りは全額戻ってくる」というイメージが定着していますが、本当に全ての人に当てはまるのでしょうか。
中には、住民税が全額控除されているのかどうかを確かめるために必要な決定通知書を詳しく見たことがないという人もいるようです。そこで今回は、自分の住民税が正しく控除されているのかを確認する方法についてご説明しましょう。
ふるさと納税の控除手続きは2種類
ふるさと納税は、確定申告もしくはワンストップ特例制度のどちらかを選んで申告しなければ税金の控除が受けられません。ここで問題となるのが、どちらの方法でふるさと納税の控除を申告すべきなのか…という点でしょう。
控除のトータル金額が同額なので「どちらでも結果は同じでしょ」と思われがちですが、確定申告とワンストップ特例制度とを比較してみると控除される税金の種類や利用できる対象者など特徴の違いが見えてきます。
1.確定申告
確定申告とは、個人が1年間に受け取った所得の総額に対して納めるべき所得税の金額を計算し、国へ支払うための申告制度です。
ここで言う1年間とは1月1日~12月31日を、所得の総額とはすべての収入金額から経費を差し引いた金額を指しており、毎年2月中旬から3月中旬に定められた申告期限までに居住区の税務署へ申告するルールになっています。
中には「国民全員の年収を国が把握して税額を計算して欲しい」という意見もありますが、そう単純にはいきません。たとえ年収は同じでも家族構成や収入の内訳などによって納めるべき税金が異なるため、国民一人ひとりが自ら申告する仕組みになっているのです。
本来、国税にあたる所得税および復興特別所得税は税務署で行う確定申告で、地方税にあたる住民税は市区町村の窓口で行う住民税申告で算出しますので、2つの申告は全くの別物です。ですが、確定申告を行った時の収入や経費などの個人データが税務署から市区町村へと通知されるうえ、住民税は所得税と違って市区町村の担当者が納税額を計算してくれます。
つまり、確定申告を行った人は1度の申告で所得税・復興特別所得税・住民税の3種類が算出できるため、あらためて住民税申告を行う必要はありません。
加えて、確定申告は源泉徴収や予定納税で納めた税金の過不足分を調整したうえで精算する役目も担っています。
確定申告で正確な税額を算出したうえで納め過ぎている人には還付金として返還し、不足している人には追加で徴収するシステムになっているのです。
1-1.確定申告が必要な人
住民税と所得税の両方に対して控除が受けられるうえ、一度の手続きで済むのが確定申告の代表的なメリットです。とはいえ、義務づけられている人が確定申告を行わず放置していると正確な税額が算出できません。結果として加算税や延滞税がプラスされて本来納めるべき税額より高い税金が請求されてしまうので、忘れずに手続きを済ませましょう。
ここでは、確定申告が必要な人を大きく「年末調整が受けられない人」と「年末調整を行っていても義務が生じる人」の2種類に分類し、さらに「確定申告を行った方が良い人」を加えた3パターンについてご説明します。
そもそも、年末調整が受けられるのは会社員だけに与えられた特権です。そのため、自営業者やフリーランスの個人事業主はふるさと納税を行っていなくても確定申告をしなければなりません。公的年金を含む雑所得の合計金額が400万円を超えており、なおかつ所得控除を差し引いても残額がある場合も確定申告を行う必要があります。
自営業者や個人事業主は確定申告をしなければならないといけないのかー
会社側が年末調整を行うのは、あくまで年収2,000万円以下の社員だけに限定されています。
一方、会社で年末調整を行っているからと言って確定申告の必要がないとは限りません。不動産所得を含む副収入が年間20万円を超えている人は、年末調整とは別に確定申告が義務づけられています。
2カ所以上から給与を受け取っている人は、それぞれの所得に対して確認が必要です。たとえメインの会社で年末調整を受けていたとしても、もう一方の収入が20万円を超えていて年末調整が行われていなければ個人的に確定申告をしなければなりません。
また、義務はなくても確定申告をした方が有利になる人もいます。確定申告を行わなかった結果、受けられるはずの控除が受けられず高いままの税金を請求されるケースと言った方がイメージしやすいかもしれません。
そもそも所得控除は年末調整の対象と対象外の2種類に分けられており、寄附金控除・医療費控除・初年度の住宅ローン控除・特定支出控除・雑損控除の5種類は全て年末調整の対象外にあたります。
つまり、寄附金控除の一種であるふるさと納税は年末調整で控除されないのです。そのうえ、6カ所以上の自治体に寄附した場合はワンストップ特例制度も使えません。もともと確定申告の必要がなく6カ所以上の自治体でふるさと納税を行っている場合は、ワンストップ特例制度ではなく確定申告で控除の申請を行いましょう。
1-2.税金が控除される時期
ふるさと納税は、確定申告を行うことで所得税と住民税の2種類の税金に対して控除が受けられる寄附金控除の一種です。所得税に対しては確定申告を行う時に指定した申請者名義の口座に還付金という形で振り込まれ、住民税に対しては減額されて安くなった税額を支払う仕組みになっています。つまり、同じふるさと納税の控除でも所得税と住民税とでは控除される方法だけでなく、申請者がメリットを実感できる時期も統一されていないのです。
所得税は寄附をした年の税額から還付されるものの、実際に還付金が口座に振り込まれる時期は確定申告書を提出する方法によって異なるのが特徴です。インターネットを利用したe‐Taxで確定申告書を提出した場合が最も早く、3週間ほどで口座に入金されます。
ですが、税務署へ持参した場合や郵送で提出した場合は職員が一枚ずつ紙の提出書類を手作業で確認しなければなりません。そのため、オンラインのe‐Taxより手間と時間がかかる分だけ待ち時間が長く、おおよそ1~2カ月後に入金されるのが一般的です。
1日でも早く所得税の還付金を受け取りたいという人は、紙の書類で提出するよりもオンラインのe‐Taxで手続きを行いましょう。申告時に取得したIDとパスワードを入力してe-Taxにログインすると、支払予定日や金額だけでなく還付金の処理がどこまで進んでいるかも確認できるので安心です。
ただし、確定申告の時期は1年で最も税務署が混み合う時期と言っても過言ではありません。人口の多い地区ほど混雑しますので、所得税が還付されるまでの期間はあくまで目安程度にしておきましょう。
一方、住民税は還付ではなく減額という形で控除されるのが特徴で、本来支払うべき金額よりも安い税額で済むのがメリットです。
所得税と違って混雑による遅延はないものの
本来、支払うべき金額を把握している人が少ないうえ控除される金額が分からないという人も多いため、実際にどのくらい安くなったのか実感しにくいのがデメリットと言えるでしょう。
中には、確認をせずに請求されたまま支払っている人も少なくありません。また、控除される時期が所得税より格段に遅いのも確認するのを忘れてしまう人が多い理由でしょう。そもそも、住民税は前年度の所得金額に対して税額を算出するルールになっています。
2.ワンストップ特例制度
2015年4月からスタートしたワンストップ特例制度とは、もともと確定申告の必要がない年末調整を行っている会社員向けの制度です。確かに、自営業者やフリーランスの個人事業主にとっての確定申告は年に1度のペースで行う恒例行事のようなものですから、準備から手続きまでスムーズにこなせる人も多いでしょう。
ですが、所得税も住民税も会社で行う年末調整だけで済ませていた会社員にとっては、決して馴染み深い手続きとは言えません。ワンストップ特例制度が始まるまでは、確定申告に対して「手続きが面倒」「難しそう」というイメージを抱いていた会社員が多かったようです。
その点、ワンストップ特例制度なら何かと忙しい年度末に確定申告をしなくても住民税の控除が受けられる、手続きがシンプルで自治体から届いた「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入して返送するだけで済むという大きなメリットが得られます。
また、控除の仕組みが確定申告と異なるのもワンストップ特例制度の特徴です。所得税の還付と住民税の減額という2つの控除で成り立っている確定申告に対して、ワンストップ特例制度には所得税の還付がなく住民税のみで控除されます。
一見、口座に現金が入金される所得税の還付がなくて損をするようなイメージが先行しがちですが、確定申告であろうとワンストップ特例制度であろうと控除の総額はどちらも同額です。
確定申告によって還付される所得税分も含め、まとめて住民税から控除されます。
2-1.ワンストップ特例制度を利用できる人
確定申告に不慣れな会社員のために作られたワンストップ特例制度が利用できれば、確定申告をしなくても住民税の控除が受けられます。
だからと言って、ワンストップ特例制度は会社員であれば誰もが無条件で利用できる制度ではありません。ワンストップ特例制度には3つの条件が設けられており、全ての条件を満たしている人だけが利用できるのです。
1つ目は、「1企業のみから年収2,000万円以下の給与を受け取っている会社員」という条件です。1企業から受け取っている給与が年間2,000万円を超えている、もしくは2カ所以上から給与を受け取っていて年末調整を行っていない方の収入が20万円を超えている会社員は、ワンストップ特例制度の利用が認められていません。
2つ目は、「もともと確定申告の必要がない会社員」という条件です。会社員の所得税は毎月の給与から概算税額が源泉徴収という形で差し引かれています。とはいえ、ここで差し引かれている概算税額とはあくまで見込みの税額です。
もちろん所得控除の申請は義務ではありませんが、申告しなければ控除は受けられません。つまり、ふるさと納税にあたる寄附金控除だけでなく医療費控除や初年度の住宅ローン控除、特定支出控除や雑損控除の1つでもある人はもともと確定申告が必要な人、もしくは確定申告をした方が有利な人にあてはまるためワンストップ特例制度は利用できないのです。
3つ目は、「寄付した自治体が5カ所以内の人」という条件です。ただし、同じ自治体に何度も寄附を繰り返してもダブルカウントはされません。
2-2.税金が控除される時期
ワンストップ特例制度は、年末調整が受けられる会社員を対象とした制度です。一般的な会社員が毎月の給与から差し引かれている源泉徴収によって所得税を払い過ぎていた場合は、年末調整によって清算されて戻ってきます。
そのため、ワンストップ特例制度でふるさと納税の申告を行っても所得税は還付されません。その分、確定申告でふるさと納税を申告した人よりも住民税が多く控除されて、控除の総額に差が生じないようになっているのです。
ワンストップ特例制度であろうと確定申告であろうと、ふるさと納税の控除によって減額された住民税を納める時期は翌年6月~翌々年5月で統一されています。ただし、申告を行う時期が違うので待ち時間が異なるのが特徴です。
しかも、ワンストップ特例制度の手続きは1回にまとめることができないため寄附を申し込む度に各自治体へ申請書を提出する必要があります。このルールは、同じ自治体へ2回目の寄附をした時も同様です。
ふるさと納税分が控除されているか住民票で確認しよう
ふるさと納税の申告を済ませたからと言って安心するのは考え物です。自分の税金が間違いなく控除されているのか、住民税の控除額を見て確認しておきましょう。もちろん、確定申告を行った人もワンストップ特例制度を行った人も確認する方法は同じです。
ここからは、ふるさと納税がしっかりと控除されているかどうかを確認する方法について手順に沿って詳しくご説明しましょう。
1.確認するのは「住民税課税決定通知書」
ふるさと納税の申告によって住民税が正しく控除され、本来支払うべき金額よりも安くなっているかどうかを知るには「住民税課税決定通知書」を確認するのが近道です。住民税課税決定通知書とは最終的に決定した住民税の税額を納税者本人に知らせる書類を指しており、申告を行った対象年の翌年5~6月頃になると手元に届きます。
ただし、住民税課税決定通知書が届く時期は同じでも送付先はその人の働き方によって異なりますので注意が必要です。
住民税の元となる所得額を算出する年末調整を行っている会社員であれば、会社あてに住民税課税決定通知書が送付されてきますので、総務や経理課などから配布されるのが一般的です。これに対して年末調整を行っていない自営業者やフリーランスの個人事業主、年間2,000万円を超える給与を受け取っている会社員などに対しては、基本的に居住区の自治体から直接申告者の自宅に郵送されてきます。
2.「税額控除額」をチェック
住民税課税決定通知書のデザインや金額の記載方法は、自治体によって異なるだけでなく会社に送付されるか自宅に送付されるかによっても多少の違いが見られます。確認すべき項目に大きな違いはありませんが、ここでは会社経由で届く場合と自宅に届く場合に分けてご説明しましょう。
会社経由で住民税課税決定通知書が手元に届いた場合は、まずは摘要欄にふるさと納税の控除分にあたる「寄付金税額控除×××円」と記載されているかどうかを確認します。
赤字の大きなフォントですから見つけやすいものの、全ての自治体が記載してくれている訳ではありません。自治体によっては「市区町村民税」と「都道府県民税」それぞれを分けて記載しているケースもありますが、合計するとふるさと納税の控除額になります。
摘要欄に寄付金税額控除の記載がなければ、次に中段に小さく記載されている「税額控除額」という項目を確認しましょう。税額控除額の欄には最初から「都道府県の税額控除額」と「市区町村の税額控除額」の合計金額が記載されています。
つまり、税額控除額の金額にはふるさと納税だけでなく初年度の住宅ローン控除や医療費控除などで控除された金額も含まれているのです。ただし、居住区の市区町村へ問い合わせると詳しい内訳を教えてもらえます。
一方、申告者の自宅に住民税課税決定通知書が届いた場合は、市区町村民税と都道府県民税の金額を2段に分けて記載している「寄付金税額控除額」という項目を探してみましょう。フォントのサイズは小さいものの、合計するとふるさと納税の控除金額になります。
2-1.確定申告を行った場合
住民税課税決定通知書に寄付金税額控除額が記載されていたとしても、肝心の控除額を把握していなければ確認のしようがありません。ふるさと納税によって控除される金額について、あらかじめ計算しておきましょう。
確定申告の場合は、
「ふるさと納税による控除の合計額
=(所得税の還付金額+税額控除額の合計)-2,000円」
の式で算出した答えと、住民税課税決定通知書に記載されている寄付金税額控除額が一致していれば、正しく控除されていると判断できます。あらかじめ所得税の還付金額と税額控除額の合計をそれぞれ算出しておくことが、確定申告による控除分を正確に算出するポイントです。
所得税の還付金額は
「(ふるさと納税額-2,000円)×所得税率」
の式で算出しますが、所得税率については国税庁の公式ホームページで公開されている「所得税の速算表」を参考にしましょう。
一方、税額控除額の合計とは住民税に対する控除分を指しており、「基本分」と「特例分」の2種類で成り立っています。基本分を算出する時は
「(ふるさと納税額-2,000円)×10%」
の式で、特例分を算出する時は
「(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%-所得税の税率)」
の式を使いましょう。
ただし、住民税所得割額の20%を超える場合の特例分を算出する場合は
「(住民税所得割額)×20%」
の式を使いますので注意が必要です。
2-2.ワンストップ特例制度を利用している場合
ワンストップ特例制度の場合は確定申告よりも計算式がシンプルで、計算しやすいです。
「ふるさと納税による控除の合計額
=税額控除額の合計-2,000円」
の式で算出した答えと、住民税課税決定通知書に記載されている寄付金税額控除額が一致していれば、正しく控除されていると判断できます。
上記の式にある税額控除額の合計は、ふるさと納税を申し込んだ自治体から届いている「寄附金受領証明書」に記載されている「ふるさと納税額」を指しています。複数の自治体に申し込んでいる場合は、寄附金受領証明書を全て集めてふるさと納税額を合算しましょう。
そこから固定控除にあたる2,000円を差し引けば、ふるさと納税による控除の合計額が算出できます。
例題として30,000円と20,000円のふるさと納税に申し込んだケースについて計算してみましょう。30,000円+20,000円で税額控除額の合計が50,000円だと分かります。この50,000円が控除の限度額を超えていなければ50,000円-2,000円=48,000円ですから、収入から控除されるふるさと納税による控除の合計額は「48,000円」という結果になります。
3.計算が合わない原因
ふるさと納税の控除を期待して待っていた人にとって、計算が合わなかった時のショックは相当なモノでしょう。
ですが、予定していたより控除額が少なかったり微妙な差があったりする人は決して珍しくありません。ふるさと納税の控除額はちょっとしたミスに大きく左右されてしまうのです。
もちろん、これだけ日本中でふるさと納税が普及しているのですから人手が足りない税務署や自治体でミスをするケースがあっても不思議ではありません。とは言え、まずは自分の手続きにミスがなかったか検証してみる必要があります。
ここでは、計算が合わなかった時の代表的な原因として4つのパターンについてご説明しましょう。
3-1.住宅ローン控除が含まれている
住民税課税決定通知書の書式スタイルは、全ての自治体で統一されている訳ではありません。中には摘要欄に目立つように「寄付金税額控除×××円」と分かりやすく記載してくれている親切な自治体もあれば、全ての控除のトータル金額だけを記載している自治体もあるのです。
そのため、合計金額が記載されている「税額控除額」と自分が計算した控除額を照らし合わせた時の差があまりにも大きい時は、初年度の住宅ローン控除や医療費控除など他の所得控除が含まれている可能性があります。
3-2.ワンストップ特例の申請書を送っていなかった
ふるさと納税の控除申請を確定申告で行う場合は、複数回の寄附をまとめて手続きすることが可能です。これに対して、ワンストップ特例制度を利用する場合は1年分の受付期限が翌年1月10日必着と定められているものの、複数回分をまとめて申告できないルールになっています。
そのため、申し込む時にチェックを入れ忘れたり届いた申請書を返送し忘れていたりする人が多いのです。もちろん、受付期限に間に合わなければ控除から漏れてしまいます。 とはいえ、たとえその年の受付期限に間に合わなくて控除から漏れたとしてもガッカリする必要はありません。
ふるさと納税は基本的に寄附した年から5年以内であれば遡って申告できますし、申請書も再発行できる仕組みになっているのです。せっかく申し込んだふるさと納税の控除をムダにしないためには、次年度分と一緒に申告した方が良いでしょう。
3-3.ワンストップ特例で6カ所以上の自治体に寄付した
手続きを簡素化したワンストップ特例制度は、1年間の寄付先が5カ所以内でおさまっている人が申し込む度に手続きを行っていれば確定申告をしなくても控除が受けられる制度です。特に、確定申告に抵抗を感じやすい会社員にとっては魅力的なシステムと言えるでしょう。
ですが、ふるさと納税という形で寄附した自治体が6カ所を上回った場合はワンストップ特例制度が利用できません。一見、簡単にクリアできるルールだと思われがちですが意外とケアレスミスを誘発しやすい落とし穴と言われているのです。
もちろん、最初から年間に寄附する自治体5カ所を決定している人なら問題ないでしょう。ですが、これだけ多くの自治体でふるさと納税を推進していますので、申し込む側にとっては誘惑が多いのも事実。
「上限の範囲内だから大丈夫」と思い、ついつい件数をオーバーする人も少なくありません。ところが、1~5カ所目までの申告をワンストップ特例制度で行っていた人が6カ所目を確定申告で申請した場合、それまでの申請分も全て無効になってしまうのです。
6カ所目を確定申告で申請する時に1~5カ所目も一緒に再申告するなら6カ所全てが控除の対象となりますが、中には6カ所目だけを除いて1~5カ所目までが申告漏れになってしまう人も珍しくありません。
3-4.控除上限額を超えていた
確かに、ふるさと納税は所得税や住民税が控除される所得控除の一種ですが、だからと言って大量に申し込めば税額が0円になる訳ではありません。
ふるさと納税には控除の上限額が設けられており、実際に寄附を行った年の1月1日~12月31日に得た所得の総額をはじめ家族構成や医療費控除といったその他の控除などによって異なるのが特徴です。
控除上限額の範囲内であれば2,000円を差し引いた全額が控除の対象となりますが、上限額を超えた分は自己負担となって控除されません。自己負担額を最低の2,000円で抑えたい場合は、あらかじめ自分の控除上限額を把握して範囲を超えないように工夫する必要があります。
自分の控除上限額を知りたいが計算方法が分からないという人は、総務省が一般公開している「全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」を参考にしてみましょう。給与収入と家族構成を当てはめるだけで控除上限額が一目で分かる早見表になっています。
ただし、こちらの早見表は社会保険料控除額を給与収入の15%と仮定した会社員向けです。自営業者や年金収入のみの人にとって不向きなのはもちろん、その他の控除も反映されていません。
住民税は「還付」ではなく「控除」として戻ってくる
スタート時に比べるとかなりポピュラーになったとは言え、ふるさと納税が税金に関わる制度だという事に変わりはありません。中には、「住民税は還付ではなく控除される」というルールに首をかしげる人もいるでしょう。
専門用語に慣れていない素人にとって仕組みが複雑で分かりにくい税金関連の制度だからこそ、「何度計算しても住民税課税決定通知書の金額と合わない」「なぜ計算が合わないのか原因が分からない」という人が多いのかもしれません。