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ふるさと納税の返礼品は一時所得になる?申告が必要なケースとは

ふるさと納税には、数多くのメリットがあります。そのうちの一つが、所得税や住民税を節税できることです。ただし、返礼品によっては課税対象の一時所得になってしまうケースもあります。せっかく返礼品で得することに期待して申し込んだのに、かえって損になったとガッカリするのは避けたいところです。ふるさと納税返礼品の一時所得について、この記事で把握しておきましょう。

一時所得とは

所得税の課税所得には、一時所得という区分があります。課税所得といえば、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得などのことです。これらの所得を除き、さらに営利を目的とした継続的な行為から発生した所得も除いたものを一時所得といいます。ただし、労務や役務の対価でもなく、資産の譲渡による対価でもないという条件付きです。例えば、懸賞や福引などで得た賞金や商品、競馬や競輪の払戻金などは一時所得に当たります。生命保険や損害保険の一時金、満期返戻金なども一時所得です。

ふるさと納税の返礼品は法人から贈与された金品に該当し、一時所得として課税対象になります。業務に関して受ける場合や継続的に受ける場合は対象外ですが、ふるさと納税は一時的な寄付であり返礼品も一時的です。従って、一時所得として課税されることを覚悟しておかなければなりません。といっても、一時所得が課税されるのは50万円を超えてからです。

一時所得の合計額が年間50万円を超えると課税されることになるので、ふるさと納税返礼品を含めて他の一時所得が50万円を超えていないか注意しておきましょう。

一時所得課税額の計算方法

一時所得の課税額を計算するには、その対象となる総収入金額と一時所得を得るために支払った金額を出しておく必要があります。まずは、一時所得そのものの金額を算出してみましょう。一時所得となった総収入金額から一時所得を得るために支払った金額を差し引き、さらに最高50万円の特別控除額を差し引けばいいだけです。算出された所得金額の2分の1が、一時所得の課税額となります。ここで注意しておきたいのは、一時所得を得るために支払った金額はふるさと納税の金額ではないことです。受け取った返礼品の金額を指しますので、計算間違いしないようにしてください。

一方、返礼品の金額が明確でない場合も多いものです。例えば地場産の高級牛肉を返礼品として受け取っても、時価で金額が変動することもあります。そこで計算に使われるのが、ふるさと納税として支払った金額です。返礼品の金額が不明確な場合、ふるさと納税金額の30%を還元率として考える方法があります。これは、総務省が返戻率の基準を上限30%としているからです。そもそもは行き過ぎた返礼品に是正勧告するためのガイドラインでしたが、実際の返礼品はもっと高い割合で還元している自治体も少なくありません。そこで総務省は返礼品規制を図り、各自治体は見直しを通知されている状況です。ふるさと納税返礼品の一時所得課税額の計算方法にも影響が出てくるかもしれませんので、気を付けておきましょう。

一時所得の計算例

もっと具体的に、一時所得の計算例を挙げてみましょう。例えば、年間200万円をふるさと納税として支出したとします。すると、一時所得となった総収入金額は200万円に上限返戻率30%をかけて出た金額となります。収入を得るために支出した金額は、寄付金ですから0円です。特別控除額は、最初に出した30%がけの金額または最高で50万円までの金額になります。計算式にすると、以下の通りです。

一時所得の計算例

200万円×30%-0円-50万円=10万円

一時所得の課税額は、一時所得に2分の1をかけたものです。例では、10万円の2分の1ですから、5万円が課税額となります。

一時所得が課税されるボーダーラインは?

通常、一つの企業から給与を受け取っている給与所得者は確定申告の必要がありません。会社が年末調整をしてくれるからです。しかし、1年の給与所得が2000万円以上になったら、会社員でも確定申告をする必要が出てきます。他にも、医療控除や住宅ローン控除、寄付金控除を受ける場合などに確定申告が必要です。ふるさと納税は寄付金控除になるため、確定申告が必要になる可能性があります。1年間に複数の自治体にふるさと納税をした場合や他の控除の申告がある場合など、条件が複雑になっているので気を付けてください。

一時所得の特別控除額は、50万円までです。ここには、生命保険の満期返戻金や競馬・競輪などの払戻金、懸賞金や懸賞品なども含まれます。特別控除額を超えるのは、一時所得に係る総収入金額が167万円になった場合です。つまり、ふるさと納税の還元率と他の一時所得を合わせた金額が167万円になったら、課税申告が必要になると認識しておきましょう。

ケース1.競馬の払戻金

一時所得が複数件ある場合は、計算が複雑に思えてしまうかもしれません。一時所得の種類ごとに例を挙げてみますので、参考にしてみてください。例えば、ふるさと納税の返戻金合計が100万円になったとします。そこに、運よく競馬の払戻金として年間200万円入ってきたとしましょう。馬券は5レースについて5万円ずつ購入し、当たったのは1レースのみです。この場合の一時所得は、35万円です。ふるさと納税の返戻金は、100万円に30%をかけた金額から収入を得るために支出した金額0円を差し引いて出します。競馬のほうは、200万円に30%をかけた金額から当たった1レース分の5万円を差し引きます。計算式にすると、以下の通りです。

ふるさと納税と競馬払戻金の一時所得計算例

(200万円×30%-5万円)+(100万円×30%-0円)-50万円=35万円

一時所得が合計35万円ですから、そこに2分の1をかけて17.5万円が一時所得の課税額として算出できます。

ケース2.生命保険の満期返戻金

生命保険などの場合、契約者・被保険者・満期保険金受取人の名義によって受け取る保険金にかかる税金が違ってきます。仮に、契約者は全て夫Aとして考えてみましょう。被保険者が夫Aまたは妻Bで満期保険金受取人が夫Aだった場合は、一時所得になります。被保険者が夫Aまたは妻Bで保険金受取人が妻Bや子Cだった場合は、贈与税がかかることになるので税額計算に要注意です。ここでは、夫Aが保険金受取人で一時所得となった場合の計算を例にしてみます。

ふるさと納税返戻金が100万円で、生命保険の満期返戻金が500万円だったとしましょう。保険料は、月々1万円で20年間支払い続けてきたので合計240万円です。この場合、ふるさと納税の返戻金としての一時所得は100万円に30%をかけたうえで収入を得るために支出した金額0円を差し引いた30万円となります。生命保険の満期返戻金に係る一時所得は、500万円に30%をかけてから収入を得るために支出した金額240万円を差し引いた-90万円です。2つの一時所得を足してから最高の所得控除額50万円を差し引いても、-10万円と一時所得はマイナスになります。一時所得の損失は発生しても0円とみなされるため、課税額も0円です。以下の計算式も、参考にしてください。

ふるさと納税返戻金と生命保険の満期返戻金の一時所得合計

(500万円×30%-240万円)+(100万円×30%-0円)-50万円=0円

一時所得を申告しないとどうなる?

申告しなければならない一時所得がありながら故意に確定申告しなかった場合、罰則を受ける可能性があります。ペナルティを課されないためにも、申告すべき一時所得は期日内に申告するようにしましょう。申告漏れによるペナルティは、本来支払うべき税金より重い課税となるかもしれません。故意に申告書を提出しなかったことが不正な手段とみなされた場合、重大な犯罪となることもあります。刑事罰として、懲役や罰金が科されることもあるのです。

1.無申告加算税

所得税の申告が確定申告の期日である3月15日までに提出されなかった場合、無申告加算税が発生する可能性があります。本来納めるべきだった所得税に加えて、罰金として税金が課されるのです。その金額は、原則として50万円までが15%増し、50万円を超えた分には20%増しになります。期日までに確定申告しておけば余計な出費を出さずに済むのに、申告しなかったばかりに税金が加算されてしまうのは大きな損失です。加算される割合として紹介したのは、税務署の調査を受けて申告漏れが発覚したケースです。

税務署から申告漏れとして調べられる前に、期限後申告をすることもできます。この場合の無申告加算税は、本来の税金に5%を乗じた金額です。税務署から知らせが来てから支払うよりは、加算税が軽減されることになります。申告をしなかった正当な理由があったり、期限後申告日から過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されたことがなければ、無申告加算税が課されないケースもあります。

2.延滞税

確定申告を行っても、納付すべき期限までに支払うべき税金を納めていなければ罰金が課されます。これは延滞税と呼ばれ、その金額は申告期日から申告書を提出した日までの日数によります。もちろん、本来支払うべき税金に加算される形です。延滞税の税率は、年度ごとに異なります。納期限の翌日から2月を経過する日までについてと、納期限の翌日から2月を経過した日以後についても大きく税率が異なるため、1日でも早く税金を納めたほうが損失を抑えることができます。例えば、平成30年度の場合、納期限の翌日から2月を経過する日までの延滞税率は年2.6%です。これに対して納期限の翌日から2月を経過した日以後の延滞税率は年8.9%ですから、支払わなければならない延滞税が大きく違ってくることがわかるでしょう。

3.刑事罰

所得を悪質に改ざんすることは、ほ脱と呼ばれる犯罪行為です。帳簿を本来とは違う数字に書き換えたり、虚偽の記載や所得を隠したりすることもほ脱行為とみなされます。ほ脱行為の罰則は、無申告加算税や延滞税を課されるだけでは済みません。税額の35~40%にもなる重加算税を支払わなければならず、支払えなければ住まいなどの差し押さえ処分が行われてしまうのです。故意による確定申告書の未提出もほ脱行為とみなされ、刑事罰に処されるかもしれません。

故意の申告書未提出によるほ脱犯は、所得税以外に贈与税や相続税、法人税などにも適用されます。保険金の満期受取金が贈与税になる場合などにも、注意しておきましょう。無申告が発覚して故意に納税を免れようとしていた場合、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が課されます。両方が課されることもあるので、注意が必要です。うっかり申告漏れをしてしまい、故意に税金を免れようとしていたわけではなくても、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が課される可能性があります。

確定申告で一時所得を申告しよう

確定申告が必要な一時所得があったら、期日内に申告をすることが大切です。申告しなかった場合の罰則も厳しいものですが、申告すれば得する可能性がある点も忘れてはなりません。特に、ふるさと納税などで寄付をした場合は、確定申告によって住民税が控除されます。所得税も還付という形で控除になりますから、早めに準備して期日内に確定申告するのがお得です。とはいえ、ついつい後回しにしてしまったり方法がわからないことが多いのも事実。確定申告で一時所得を申告する場合に必要なものや方法について、解説します。

1.確定申告に必要なもの

確定申告するときには、申告書の他にも用意しておかなければならないものがあります。まず、確定申告書は複数種ある中からAを選んでください。確定申告書Aは、所得の種類が給与所得・雑所得・配当所得・一時所得のみの場合に使う書類です。ふるさと納税返戻金は一時所得ですから、この書類を使うことになります。生命保険などの一時金や満期受取金がある場合も、一時所得ですから確定申告書Aで大丈夫です。この書類には、収入金額等の欄が給与所得・雑所得・配当所得・一時所得しか設けられていません。確定申告書は、税務署に出向いて入手するかパソコンからダウンロードして印刷して用意できます。

他に用意すべきものは、寄付金受領証明書・対象期間の源泉徴収票・還付金受取用口座番号・印鑑・マイナンバーカードです。保険の受取金がある場合は、保険会社が出してくれる支払通知書も添えて提出します。寄付金受領証明書は、ふるさと納税をした自治体から送付される書類です。対象期間の全てのふるさと納税において、受領証明書が必要になります。還付金受取用口座番号は、本人名義でなければなりません。また、印鑑はゴム印が使えないので他のタイプを用意しておきましょう。

マイナンバーカードは、人によっては発行していないこともあるでしょう。その場合、マイナンバーを確認できる書類と身元確認書類を合わせて提出する必要があります。マイナンバーを確認できる書類は、マイナンバーの通知カードや住民票の写しです。記載されたマイナンバーの持ち主であることを証明するための身元確認書類は、運転免許証・公的医療保険の被保険者証・パスポート・身体障碍者手帳・在留カードなどのうちいずれか1つでOKです。

2.確定申告の方法

確定申告書の作成方法は、3タイプあります。手書きで作成する方法と国税庁ホームページの確定申告書作成コーナーで作成する方法、電子申告(e-Tax)で作成する方法です。手書きで作成する場合は、確定申告書を用意して書き方に従って手書きで仕上げます。国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーを利用する場合は、画面の案内に従えば作成を進めていけます。作成が完了したら、確定申告書を印刷して税務署に提出しましょう。e-Taxで電子申告する場合は、確定申告書の作成も提出もパソコンでできます。インターネットから確定申告書を提出すれば、申告完了です。ただしこの場合、マイナンバーカードや身元確認書類などの提出に漏れがないよう気を付けてください。

パソコンを使った確定申告書の作成は便利ですが、税務署に行く時間がない、郵送するのが面倒というようなときもあるでしょう。そんなときに楽なのが、電子申告です。自宅にいながらにして確定申告書の作成も提出もインターネットを介して行えるので、ついつい確定申告を後回しにしてしまうという人も電子申告を利用するとよいでしょう。

3.一時所得の記入例

確定申告書に一時所得をどう記入するかで、迷うこともあるかもしれません。しかし実は、確定申告書Aを間違いなく選べば所得金額欄に一時所得以外の記入ができないようになっているので安心してください。例えば、年収640万円の給与所得者がふるさと納税返戻金として100万円、保険金の一時金として700万円受け取ったとしましょう。既に払い込み済みの保険料は、500万円です。この場合、緑色の収入金額等欄に640万円と記入したうえで、収入金額等の一時欄に180万円と記入します。ふるさと納税返戻金と保険金の一時金受取金額を合計したものです。計算式は、以下のようになります。

収入金額等の一時欄金額

(100万円×30%-0円)+(700万円-500万円)-50万円=180万円

一時所得がプラスになっても、50万円までは特別控除を受けることができます。50万円までの一時所得なら、課税されません。給与所得などと合算する前に2分の1を乗じる決まりもあるため、確定申告書の所得金額欄には一時金として90万円と記入することになります。最終的に、ブルーの合計欄には所得金額の給与欄に記入した金額と一時所得として記入した金額を加算した額を記せばOKです。給与や年金による所得と同じように、一時所得の合計から所得控除額が差し引かれ、超過累進税率が課されると税額が確定します。復興特別所得税が施行されている期間は、プラス2.1%の税金が課される決まりです。

税務署の「税についての相談窓口」を利用しよう

実際にやってみると、確定申告書の作成は意外に簡単にできるものだとわかります。しかし、一時所得が複数件に渡っていたり、初めての確定申告で申告書の記入方法がよくわからないという場合は、税務署が設けている「税についての相談窓口」を利用するのも便利な方法です。電話で相談することもできますし、直接税務署の相談窓口で面接を受けることもできます。電話での相談は開庁時間内であればいつでも利用できますが、窓口での面接相談は予約制です。

電話の相談窓口を利用する場合は、所轄の税務署の電話番号に電話をかけて自動音声の案内に従います。「1」「2」「3」などの番号を選択することによって、担当の窓口につながる仕組みです。国税に関する一般的な質問や相談については、「1」を選択したうえでさらに細かく所得税や贈与税に関する相談番号を選択することになり、最終的に電話相談センターの職員が受け付けしてくれます。納付に関する相談や面接の相談予約は、最初に「2」を選択するとつながるのが税務署の受付担当です。税務署の職員が受付をしてくれるので、相談ごとや面接の予約をしてください。他に「3」という選択肢がありますが、これは消費税軽減税率制度についての一般的な質問や相談を受け付けている窓口です。

電話で回答するのが困難な場合は、所轄の税務署で面接による相談を受け付けています。書類や事実関係を確認してもらいながらの相談が適している場合も、面接相談がよいでしょう。面接相談は、電話などで事前に予約が必要です。所轄の税務署の電話番号に電話をしたら、自動音声の案内に従って「2」を選択すると面接相談の予約ができます。電話だけの相談にしようと思っていた場合でも、必要に応じて面接相談の予約が可能です。相談日時を予約するときは、氏名・住所・相談内容を告げることになります。

聴覚障害のある方には、電子メールやFAXによる相談窓口も用意されています。聴覚障害者をはじめ、障害がなくても電話での相談が難しければ利用可能です。ただし、電話対応が可能な場合は電話相談窓口を利用しましょう。聴覚障害者等電子メール相談の受付や聴覚障害者用ファクシミリの番号案内、税についての都道府県相談窓口は国税庁のホームページでも案内されています。ホームページから、「税の情報・手続・用紙」「税について調べる」「税についての上手な調べ方」「税についての相談窓口」の順にたどれば、番号案内のページが表示されます。

ふるさと納税で多額の寄付をしたときは「一時所得」に注意しよう

ふるさと納税で寄付をして返礼品を受け取ったときは、一時所得を得たと認識する必要があります。ただし、一時所得には最高で50万円までの特別控除があり、50万円を超えない一時所得なら課税対象にはなりません。実際、ふるさと納税の返礼品を受け取っても課税対象になるケースが少ないのはこのためです。そうはいっても、多額のふるさと納税を寄付していたり、複数のふるさと納税をしている人もいるかもしれません。また、ふるさと納税以外の一時所得を得ている場合にも注意が必要です。一時所得の合計額が年間で50万円を超える場合は、課税対象となります。

生命保険や損害保険の一時金・満期返戻金などを受け取ったとき、競馬や競輪の払戻金を受け取ったとき、懸賞金や懸賞品に当選したときなど、課税対象となったら確定申告をしなければなりません。死亡後に支給が確定した退職手当金なども、課税対象となり得る一時所得です。申告すべき所得を漏らしてしまうと、故意であっても故意でなくても罰則が課されるリスクがあります。難しいことではありませんので、ふるさと納税での寄付をきっかけに一時所得や確定申告に関する認識を確かにしておいてはいかがでしょうか。

ふるさと納税の返礼品には、各自治体で様々な趣向が凝らされています。高額に相当しそうな返礼品もあり、1つの自治体のふるさと納税に寄付するだけでも一時所得が大きくなる可能性があります。積極的に各自治体を応援したいと、複数のふるさと納税に寄付する人も珍しくありません。そんなとき、気を付けておきたいのが一時所得の合計金額です。ふるさと納税にも、課税対象になるケースはあります。気持ちよくふるさと納税に寄付するためにも、どのようなケースが課税対象になるのか、課税対象になった場合の確定申告をどうすればよいのか正しく押さえておきましょう。

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わさび
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ふるさと納税を一生懸命勉強!